学校花壇における草花栽培Q&A
1 栽培に関すること
 
Q1 たねまきについて、花の種類によってまく時期をずらしたほうがよいでしょうか?
A 花の種類によって発芽適温や開花までの日数がちがうので、できればずらしてまいた方が植物のためにはよいでしょう。特に発芽適温の高いサルビアは遅くまくほどよく発芽します。また、パンジーは秋まきの種類の中では他のものに比べて早く(8月~9月)にまかないと大きくなりません。ただし、早すぎても(7月まき)、夏越しが難しいので注意しましょう。
 
 
Q2 マリーゴールドの生育に適した土作りと施肥について教えてください。
A マリーゴールドは比較的痩せ地に適しており、肥料が多いと葉ばかりになって花がつきません。また、排水が悪いと根ぐされを起こしやすいので、排水の良い土に少しの肥料で栽培することがコツです。パンジーの後作などでは無肥料でスタートします。
 
 
Q3 パンジーを育てた後に残る肥料が多い場合は、どうしたらよいでしょうか?
A パンジーは肥料を多く必要とする植物なので、どうしても肥料が残ってしまいますが、サルビアを栽培するには問題がありません。マリーゴールドやアゲラタムを栽培する場合は、表面の土を5~10cmはいで、サルビアの所に入れ替えるとよいでしょう。また、深く起こして心土と表土を替える「天地返し」をすることも有効です。
 
 
Q4 花壇の土が硬い場合には、どのようなものを入れて改良したらよいでしょうか?
A 土を軟らかくするには有機質が一番です。有機質の種類は、稲わら・たい肥・厩肥・腐葉土・バークなどがあります。
 
 
Q5 土づくりについて教えてください。
A 土づくりは、主には作物の根が張りやすいように、土壌の物理性を改善することが目的です。粘土地や砂地であったり、腐植の少ない土では、有機質(たい肥など)の施用が必要です。また、硬い土や石礫の多い土では深耕や除石礫も土づくりのひとつです。土壌改良資材には、たい肥の他にピートモスやパーライトといった資材もあります。
 
 
Q6 ぬれるとぬかるみ、乾くと固くなる粘土質の土を改良するにはどうすればよいでしょうか?
A 粘土質の土では、土壌中に含まれる空気の割合が少ないことが原因なので、土壌の物理性を改善するために有機質の施用がまず必要です。場合によっては粗めの砂を少量客土する事も有効です。
 
 
Q7 パンジーの苗用の土は、赤土・腐葉土の割合はどのくらいがよいでしょうか?
A パンジーは肥料をほしがる種類なので、土が肥料を抱きやすいような育苗用土が理想です。市販の育苗用土もありますが、赤土5:腐葉土5位が良いでしょう。この場合はpH(水素イオン濃度)の矯正や燐酸等の施肥も最初に必要です。
 
 
Q8 肥料は、どのようなものを、どれくらいの間隔でやるのがよいでしょうか?
A 花壇では、元肥は緩効性の化成(配合)肥料を、追肥は液肥か速効性の化成(配合)肥料を使います。基本的には、 草花の種類や葉の色及び花の様子を見て、量や間隔を加減します。
 
 
Q9 パンジーの春の植え付けは、いつ頃がよいでしょうか?。その際の土づくりのための肥料は、何をどのくらいやるのがよいでしょうか?
A 春の植え付けは、3月中下旬が良いでしょう。霜や雪もありますが、少しずつならしておけば問題ありません。ただし、土が凍っていて植え付けができない場合もあるので、秋のうちに有機質や石灰窒素などを施用して耕耘しておくことが必要です。量については、前作の残りなどをEC(電気伝導度)等でチェックして、施用するようにしてください。
 
 
Q10 肥料の種類とまき方について教えてください。
A 肥料には、液状・粉状・粒状といった形状のものがあり、速効性・緩効性・遅効性といった効き方の分類もあります。また、成分で、チッソ・リン酸・カリ・石灰・苦土・その他微量要素といった内容のものがあり、何を何%含んでいるといった表示が必ずあります。一般的に野菜や花に使う肥料なら、花壇に使うことができます。水稲や果樹用のものは避けた方がよいでしょう。まき方は、肥料の効かせ方にもよりますが、一般的には耕耘前に全面に均一にまき、土にすきこみます。錠剤を元肥にして使うことも避けましょう。
 
 
Q11 花壇によく使われる肥料やその種類について教えてください。
A Q10と同じです。市販には家庭用に量が少なく高価な肥料がたくさんありますが、JAなどで販売している農家が使っているものを購入した方が経済的です。
 
 
Q12 肥料の中では特に何が必要で、何をたくさん必要とするか教えてください。
A 成分で一番必要なものは、チッソ・リン酸・カリの3要素で、次いで石灰・苦土です。どの程度の量をいれればよいかは、土壌診断をしてみないとわかりません。土壌診断は、普及センターやJAにお願いすれば分析してもらうことができます。
 
 
Q13 パンジーは何㎝間隔で植えるのがよいでしょうか?
A 一般的にはパンジーは15~20cmくらいが標準ですが、場所や植える時期によって株の成長の仕方が違います。前年の例を参考に加減してみてください。
 
 
Q14 花摘みはどのくらいで切り上げるのがよいでしょうか?。特にサルビアとマリーゴールドは時期を変えたほうがよいでしょうか?
A 株を作るための花摘みは、生育にもよりますが、第1花を摘むのが基本です。次々と摘むと横からわき芽が出て株張りが良くなります。花をそろえるには、一斉に花を摘むこともありますが、長く楽しむには咲き終わった花殻をこまめに摘むことが大切です。
 
 
Q15 種子から栽培する場合、種の選び方、発芽率の上げ方、栽培上の留意点 などを教えてください。
A 種子は、大手種苗センターの優良品種を購入するのが一番安全で確実です。絵袋に入って店頭で売っているものは、量が少なく発芽率も悪い場合もあるので経済的ではありません。発芽は適温下で、乾燥させないことが一番のポイントです。発芽率は種子の貯蔵の仕方によるところが大きいので、冷暗所で乾燥状態のまま貯蔵するのが一般的です。
 
 
Q16 サルビアやマリーゴールド以外で、花壇材料に適している草花があったら教えてください。
A 学校花壇に適している草花の種類はたくさんありますが、作りやすさや色のバランス、草丈などを考え、サルビア・マリーゴールド・アゲラタムなどがよく使われいます。最近では暑さに強いメランポジュームも増えています。メインとなる花壇はできるだけ上記の種類でデザインし、学級花壇などでは新しい種類の花に大いにチャレンジしてみてください。
 
 
Q17 花壇に苗を植えるとき、クラスで植えると踏み荒らしてしまい、土が固 くなってりまいます。そうならないように植えるにはどうすればよいでしょうか?
A 花壇が大きすぎると、どうしても踏み荒らしてしまいがちです。まず花壇の大きさを検討してみてください。また、植え付けの時に、奥または中心から植え付け、踏み荒らしたところを再度耕耘しながら外に向かって後退しながら植えていくとよいでしょう。
 
 
 
 
2 病害虫に関すること
 
Q18 育苗期の消毒について教えてください。
A 育苗時に発生する病害虫は、立枯病等ですが、消毒済みの用土を用いて適温下で管理すれば、ほとんど発生しません。また、発生してからでは消毒の効果がほとんどありません。アブラムシなどの害虫は発生前に粒剤を処理しておくと良いでしょう。
 
 
Q19 注意が必要な害虫とその防除方法について教えてください。
A 一番多いのはアブラムシです。定植直後に根元をかじるヨトウムシや乾燥時に発生の多いハダニも問題になります。ヨトウムシなどは手で捕まえて捕殺するのが有効です。アブラムシには一般の殺虫剤が良く効きますが、ハダニは専用の殺ダニ剤でないと効果がありません。かん水時に水圧を強くして虫を洗い流すことも有効です。
 
 
Q20 花壇に多くく出現する病気の種類とその対策を教えてください。
A 一般的には病気が出にくい丈夫な種類が多いのですが、混みすぎたり、雨が多いと、腐敗病や灰色カビ病などがでることがあります。そのような場合には、薬剤(殺菌剤)に頼らず、病気の部分を除去したり環境をよくして防ぐことをおすすめします。
 
 
Q21 どの季節にどんな病害虫が発生し、その対策にはどのようなものがあるか教えてください。
A 花壇では病害虫が必ずでるとはかぎりません。むしろ出ないことの方が一般的です。ただし、年によって、また地域によって出ることがあるので、常に花壇をよく観察し、出始めたらすみやかに防除することが大切です。学校花壇では病害虫が発生する前にむやみに消毒することは決して良いことではありません。わからない病害虫が発生したときは、対策も含めて早めに最寄りの農林振興センター等へ相談してください。
 
 
Q22 市販の農薬ではアブラムシが根絶できず困っています。駆除はうしたらよいでしょうか?
A アブラムシは薬に対してあまりつよい虫ではありませんが、有翅アブラムシが飛来してくるので、次々と発生してきます。カンレイシャなどでも飛来を防ぐのも効果的です。また、銀色のテープなどでも忌避効果があります。また同じ種類の薬剤を続けて使っていると、害虫は、薬剤は耐性を持つようになります。こうなると散布しても効果はありませんので、種類(系統)の異なる薬剤を散布します。
 
 
Q23 モグラ駆除の有効的な方法について教えてください。
A モグラは主に通る道が決まっているので、通り道にモグラ取りを仕掛けるか、臭いの強いもので花壇に近づけないようにします。また、盛り上がったところは必ず踏みつけて、放置しないようにします。
 
 
Q24 ネキリムシ、ヨトウムシなどの駆除方法について教えてください。
A 大きくなった老熟幼虫は薬剤の効果がほとんどありません。被害が発生したら直ちに捕まえて捕殺するようにしてください。害虫が小さいうちは、粒剤の効果があり、アブラムシなどにも有効です。特にネキリムシは被害が発生した株の株下に潜んでいることが多いので捕殺します。
 
 
Q25 病害に対する対応の基礎・基本を教えてください。
A 病気には、糸状菌(カビ)・細菌(バクテリア)・ウイルスなどがありますが、学校花壇では、病気のでにくいものを、出にくい環境で作ることが基本です。病害が発生した場合は、対策も含めて早めに最寄りの農林振興センター等へ相談してください。
 
 
Q26 薬剤の散布について教えてください。
A 薬剤を散布しても、病害虫にかからなければ効果はありません。散布は葉の裏にかかるよう、ていねいに行います。また、注意書きを良く読み、適正な濃度、使用量を守るようにしてください。薬剤散布により、植物に悪影響を及ぼす(薬害)ことがあります。高温時には薬害が出やすいので、真夏の日中の薬剤散布は控えた方がよいでしょう。