自然体験ゾーン

 

所員の手によるビオトープづくり

総合教育センター江南支所では、農業用水の水質浄化と緑豊かな水辺空間の創造を目指して自然体験ゾーンを整備しました。自然を散策しながらそこに棲む生き物等を観察し、豊かな自然がもたらす恵みを体感し、自然の大切さを理解できるビオトープを目指し、全所員の手で造成しました。

 
自然体験ゾーンの全体図
図:自然体験ゾーン
 
浄化池
 江南支所内を流れる水路の水は、上流部の宅地化に伴う生活排水の流入により富栄養化の要因となる窒素化合物を多く含んでいます。そのため、児童生徒が素足で田植えを行うことなど、農業体験学習を実施する上で十分な環境ではありません。
 本センターでは、抽水植物や自然が有する浄化機能を活用できる環境づくりをおこなうことにより、水質浄化を進めることが可能であると考え、浄化池、浄化用水路、貯水池からなる自然体験ゾーンを造成しました。
 
写真:浄化池造成前の風景
 
写真:ビオトープ造成前
     浄化池造成前の風景                 ビオトープ造成前の風景
 
     写真:浄化池の掘削
        測量開始                         浄化池の掘削
 
写真:トラクターシャベルによる掘削
 
写真:浄化池の掘削
   トラクターシャベルによる掘削(1)             浄化池の掘削(2)
 
写真:浄化池の掘削
 
写真:トレーラーによる土の搬出
      浄化池の掘削(3)                  トレーラによる土の搬出   
 
写真:難航する浄化池の掘削     写真:深さ30cmの浄化池
     難行する浄化池の掘削                  深さ30cm浄化池
 
写真:完成間近の浄化池
  写真:浄化池の完成
       完成間近の浄化池                   浄化池の完成
 
写真:水でいっぱいになった浄化池
 
写真:浄化用植物
    水でいっぱいになった浄化池            浄化用植物(ウキヤガラ)
 
写真:水質調査     写真:水質調査
                         水量調査                        
 
浄化用水路
 浄化用水路では、浄化池で浄化された水をさらに、石・素焼き鉢・木炭等で浮遊物質を除去するとともに、付着した微生物を活用して有機化合物を分解します。
 
写真:浄化用水路資材
 
写真:浄化用水路の造成
      浄化用水路資材                    浄化用水路の造成
 
写真:浄化用水路の底の調査
 
写真:廃材を利用した浄化用水路
     浄化用水路の底を調整             廃材を利用した浄化用水路(杉板)
 
曝気を目的とした浄化用水路の石
 
写真:浄化用水路の完成
 曝気を目的とした浄化用水路の石             浄化用水路の完成
 
 貯水池の造成
 貯水池では、農業用水の確保と水辺の生き物が生育し繁殖できる自然環境を創出します。
 写真:バックホウによる貯水池の掘削
 
写真:貯水池の掘削
   バックホウによる貯水池の掘削(1)            貯水池の掘削(2)
 
写真:貯水池の掘削
 
写真:深さ1mの貯水池
      貯水池の掘削(3)                    深さ1mの貯水池
 
写真:完成間近の貯水池
     写真:水でいっぱいになった貯水池
     完成間近の貯水池                 水でいっぱいになった貯水池
 
埋土種子緑化
  抽水植物(ヨシやマコモなど)は、水に溶けた窒素やリン等の物質を吸着させ水質を浄化する作用があります。それらの植物を1000㎡におよぶ浄化池に移植することは、大変な労力を必要とします。そのため、平成14年3月に埼玉県自然学習センター(北本市)の協力を得て、湿地の土を移入し埋土種子緑化を行いました。埋土種子緑化は、表土の中に蓄えられた多種多様な植物の種子を活用し、地域固有の植生を早期に復元する緑化手法です。自然学習センターの湿地の土を約2トン浄化池に入れました。
 その結果、浄化池施工後約3ヶ月で、ウキヤガラ(カヤツリグサ科)を中心とした植物群落が創出されました。
 
写真:自然学習センターの湿地で土の採取
 
写真:埋土種子の運搬
   自然学習センターの湿地にて               埋土種子の搬出
 
写真:埋土の搬入
 
写真:4月上旬のウキヤガラの発芽
    埋土種子の搬入(浄化池)             4月上旬ウキヤガラの発芽
 
取水堰の造成
 浄化池の取水方法は、水路の底より高い位置にある浄化池に自由に取水できるよう、水路を土のうで堰止めることで水位を高くしました。しかし、素掘の水路であるため、堰のわきからの漏水が目立つようになり、安定した取水ができる新たな堰の造成を検討しています。
写真:取水堰造成前の様子
 
写真:取水水路の掘削
       取水堰造成前の様子                  取水水路の掘削
 
写真:取水堰の高低差を調べるセンター職員
 
写真:取水水路のヒューム管
 取水堰の高低差を調べるセンター職員           取水水路のヒューム管  
 
写真:土嚢による取水堰
 
写真:浄化池に入る用水
      土のうによる取水堰                   浄化池に入る用水     
 
一年目のビオトープ
  4月に浄化池・貯水池に水が入り、初夏にはウキヤガラが浄化池いっぱいに繁茂しました。夏には、ヤゴがあらわれトンボが群れをなして飛びかいました。また、オタマジャクシやモノアラガイの自然発生、アオサギやシラサギ、カワセミが飛来するまでになりました。
 
写真:植物を利用した水質浄化
 
写真:繁茂するウキヤガラ
  植物を利用した水質浄化 (浄化池)        繁茂するウキヤガラ (浄化池)
 
写真:木炭を利用した水質浄化
 
写真:ヒメイグサ
  木炭を利用した水質浄化 (浄化池)            姫イグサ (浄化池) 
 
 写真:アオコ対策用ハクレン     写真:素焼き鉢を利用した水質浄化
   アオコ対策用ハクレン (浄化池)       素焼き鉢を利用した水質浄化 (浄化用水路)
 
写真:自然発生したモノアラガイ
 
写真:カワニナ
 自然発生したモノアラガイ (浄化用水路)         カワニナ (浄化用水路)
 
写真:水でいっぱいになった貯水池
 
写真:クチボソ
    水でいっぱいになった貯水池               クチボソ (貯水池)
 
写真:ヌマエビ
 
写真:パックテストによる水質調査
      ヌマエビ (貯水池)                 パックテストによる水質検査
 
写真:シオカラトンボ
 
写真:カワセミ
      シオカラトンボ                         カワセミ
 
  
自然体験ゾーンのこれから
  21世紀は、環境教育の推進が重要とされています。環境教育のねらいは、自然と人間が共生できる社会を主体的に創造していく人間を育てることです。自然体験ゾーンをとおして、自然の中に身を置き、感じ考え、行動することは「心の教育」や「生きる力」を育てる教育活動に有効であると考えられます。
 また、豊かな自然に恵まれた農村地域の水路やため池は、農業水利施設としての機能を有するばかりでなく、水に親しみ、自然とふれあい、安らぎや潤いを与えてくれます。
 当センターの自然体験ゾーンは、これから時間をかけて安定した生態系の創出を目指していきます。
 
 
 
水質浄化の取組結果